人工のソレとは明らかに違う。
圧倒的でいながら穏やか。
そんな生命の根源的なひかりの中、バックシートで朝を迎えた。
3Mの厳格な規格の防塵マスクの内側はうっすら汗ばんでいた。
はて?
わたしは何処にいるんでしょう?
深夜、都内を発ち、東北福島に入っていた。
目的地の南相馬を目前にオレたちは峠道にいた。
UNARMのメンバーがステアリングを握っている。
道路標識には飯館村、浪江町といった、この度の放射能漏れ人災事故の被害を被った土地の名前が踊る。
緊張が走る。
長閑に疎らな家屋に家人はない。
ゴーストタウンですか?
ここ数日の雪がオレたちの行く手を阻んでいるという状況だった。
山が自然を穢し続けた人間を拒絶するかの様に。
迂回、迂回を強いられていた。
少し進んでは、通行止めによって又引き返すといった堂々巡りを繰り返していた。
こうなってくるとカーナビの範疇外だ。
買ったばかりのこのガイガーカウンターが警報を発するのをこの旅で初めて聞いた。
(ちゃんと作動してる。よかった~!)
なんて安心している場合ではないのだ。
ガイガーカウンタは不快な音、不協和音が途切れる事無く鳴り続けている。
おい・・・
おい!?
おい!!!!!
ガイガーカウンタは、311以前の東京の放射線量の100倍の数値を叩き出した。。。
このあと6μシーベルトも突破。
「ちょっと、まずい感じだねー」
「しっかりマスクした方がいいね。」
そう、平静を装ってね。
ここでパニクって、スリップ、崖下へ転落、だけは避けよう。
「Nくんに電話してみよう!」
何度も現地入りしているNくん。
昨日から既に現地入りしてる。
「詳しい人の指示を仰ごう。」
・・・オレたち5人、5機の携帯電話は皆、圏外だった。
これ夢でしょう?
モルツの666を思い出した。
続く。